轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あめ
雨
織田 作之助
「海風」1938(昭和13)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,261 字 · 44 页
ある朝、妓が林檎をむいてくれるのを見て、胸が温った。無器用な彼は林檎一つむけず、そんな妓の姿に涙が出るほど感心し、またいじらしくもあり、年期明けたら夫婦になろうと簡単に約束した。
こんなことではいつになったら母親を迎えに行けるだろうかと、情けない想いをしながら相変らず通っていたが、妓は相手もあろうに「疳つりの半」という博奕打ちに落籍されてしまった。「疳つりの半」は名前のごとく始終体を痙攣させている男だが、なぜか廓の妓たちに好かれて、彼のために身を亡した妓も少くはなかった。豹一は妓の白い胸にあるホクロ一つにも愛惜を感じる想いで、はじめて嫉妬を覚えた。博奕打ちに負けたと思うと、血が狂暴に燃えた。妓が「疳つりの半」に誘惑された気持に突き当ると、表情が蒼凄んだ。不良少年と喧嘩する日が多くなった。そして、博奕打ちに特有の商人コートに草履ばきという服装の男を見ると、いきなりドンと突き当り、相手が彼の痩せた体をなめて掛ってくると、鼻血が出るまで撲り合った。
ある日、そんな喧嘩のとき胸を突かれて、げッと血を吐いた。新聞社にいたころから時々自転車の上で弱い咳をしていたが、あれからもう半年、右肺尖カタル、左肺浸潤と医者が即座にきめてしまったほど、体をこわしていたのだった。