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ゆきだるま

雪だるま

小川 未明

「小学少年」1923(大正12)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,203 字 · 5 页

青空文庫

」こういって、その日の名残をおしみながら、別れて、二人は自分の家へ入ってゆきました。あとには、ただひとり大きな雪だるまが、円い目をみはって、あちらをながめていました。

次郎は、夕飯を食べるとじきに床の中に入りました。そして、いつのまにかぐっすりと眠ってしまいました。ちょうど、夜中時分でありました。そばにねていられたおばあさんが、いつものように、

「次郎や、小便にゆかないか。」といって、ゆり起こされましたので、次郎は、すぐに起きて目をこすりながら、はばかりにゆきました。そして、またもどってきて、暖かな床の中に入りました。家の外には、風が吹いています。寒い晩でありました。晴れていて、雲がないとみえて、月の光が、窓のすきまから、障子の上に明るくさしているのが見られました。

次郎は、どんなに、だれも人のいない家の外は寒かろうと思いました。それで、すぐにねつかれずに、床の中で、いろいろのことを考えていました。ちょうど、そのときでありました。圃のあちらで、だれか、ハーモニカを吹いているものがあったのであります。

「いまごろ、だれだろうか? 隣の勇ちゃんかしらん。