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ゆきだるま
雪だるま
小川 未明
「小学少年」1923(大正12)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,203 字 · 5 页
こんなに暗く遅いのに、そして寒いのに、独りで外へ出ているのだろうか……。ああ、きっとお化けにちがいない!」次郎は、こう思うと、頭からふとんをかむりました。そして、息の音を殺していました。翌日起きてから外に出てみますと、圃の中には、昨日つくった雪だるまが、そのままになっていました。雪だるまは、ハーモニカを口に、往来の方を見守っていました。そこへ、勇吉がやってきました。
「次郎ちゃん、おはよう、雪だるまは凍って光っているね。」
「夜中に、勇ちゃんは、外に出て、ハーモニカを吹いた? 僕は、夜中に、ハーモニカの鳴るのを聞いたよ。」
「うそだい。だれが、そんな夜中に、ハーモニカを吹くものか?」
「そんなら、きっとお化けだよ。」
「お化けなんか、あるものか、次郎ちゃんは、夢を見たんだよ。」
「だって、僕は、ハーモニカの音を聞いたよ。」と、次郎はいいましたけれど、勇吉は、ほんとうにしませんでした。
その日の夜のことであります。次郎は、ふたたび夜中に、ハーモニカの音を聞きました。こんどは次郎は、だれが吹いているか、それを見ようと、勇気を出して、戸口まで出てのぞいてみました。