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ゆきのうえのおじいさん

雪の上のおじいさん

小川 未明

「童話」1922(大正11)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,520 字 · 14 页

青空文庫

しかし、世間には、怖ろしい鬼のような人間がある。自分が苦しいといって、子供を捨てるような人間も住んでいる。そんな人の心はどんなであろうか。

「坊は、おじいさんの家の子供になるか。」と、おじいさんは、笑いながらききました。

「なったら、また、風船球を買ってくれる?」と、子供は、おじいさんの顔を見上げました。

「ああ、買ってやるとも、いくつも買ってやるぞ。」と、おじいさんは、大きなしわの寄った掌で子供の頭をなでてやりました。おじいさんは、幾十年となく、毎日、圃に出てくわを持っていたので、掌は、堅く、あらくれだっていましたが、いま子供の頭をなでたときには、あたたかい血が通っていたのであります。

このとき、あちらからきちがいのように、髪を振り乱して、女が駆けてきました。

「坊や、おまえはどこへゆくのだい。」と、母親は子供をしかりました。

子供は、またお母さんに、どんなにひどいめにあわされるだろうかと思ったのでしょう、急に大きな声で泣き出しました。

「そんなら、このお子供さんは、あなたのお子さんですかい。」と、おじいさんは女の人にききました。

「私の子供でないかもないもんだ。