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ゆきのとかち
雪の十勝
中谷 宇吉郎
――雪の研究の生活――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,729 字 · 8 页
顕微鏡写真装置も同様にしてこの実験台の上にくっつけてしまうのである。
十勝岳のこの附近は、雪の結晶の研究には先ず申分のない所であろう。あるいは世界でも珍らしい所ではないかという気もする。第一結晶が極めて美しく、繊細を極めたその枝の端々までが手の切れそうな鮮明な輪廓を持っていることである。自分たちが白銀荘で見たような美しい結晶は世界中のどの観測者の写真にも見られないものであった。それから結晶の種類がまた極めて多い。普通に雪の結晶の代表と思われている六花状のあらゆる種類の結晶は勿論のこと、余り知られていないところの樹枝状の結晶の枝が立体的に伸びているもの、それから稀らしいとされている角錐状の結晶、鼓型の結晶、それが数段になっている段々鼓型などの結晶が惜し気もなく降って来るのである。この二月には針状の結晶がそればかり三十分も続いてかなり激しい降雪となって降って来たこともあった。それから全く世界中の今までの文献に知られていないと思われる側面結晶という不思議な雪も数回観測することが出来た。
「平面樹枝状の結晶 ×13.5」のキャプション付きの写真
平面樹枝状の結晶 ×13.5