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ゆきざっき

雪雑記

中谷 宇吉郎

「中央公論」1937(昭和12)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,988 字 · 20 页

青空文庫

それで、「英語はあなたの方が私より確かなのだから、そして命名法を一定することは私も賛成なのですから、爾今あなたの命名法を使いましょう」とあっさり降参してしまった。

ところが思いがけず最近になって妙な援兵が現れた。しかも大変有力な援兵なのである。事の起りはセリグマン氏が私の雪の研究に大変好意を持ってくれて、『ネーチュア』という雑誌に詳しい紹介を書いてくれたのである。但しその中で crystal という言葉は皆 flake と直して書いたのである。こっちは一度降参してしまったのであるからどうでも良いと思っていたところが、それを読んだ英国の気象台長シムプソン博士が同誌の寄書欄へ早速一文を寄せて、雪の命名法は中谷の方が正しい、『オックスフォード辞典』ではフレークという言葉はという調子にすっかりセリグマン氏の命名法をくさしてしまったのである。『ネーチュア』はこんな寄書があると、相手の本人にその写しを送って答弁を求めて同時に掲載する習慣になっている。セリグマン氏の答弁は、自分の命名法は最上とは思わないが、外にもっとよい言葉がないから仕方がない、それにフレークという言葉はそれほど悪くはない、『ウェブスター辞典』