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せつま

雪魔

海野 十三

「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页

青空文庫

休みでもないのにどうしたのかと、五助はいぶかりながら、うれしく彦太をむかえたが、彦太の話では、東京はひどい食糧不足のため、学校は当分のうち授業が休みになったということだった。五助は、へえそうかねと目を丸くしておどろいた。

「あれから、青髪山へ行ったかい」

と、彦太は五助にたずねた。

「いや、行かないよ。行かれないんだよ、彦ちゃん」

「なぜさ」

「だって、この村では、青髪山の魔神のたたりがおそろしいといって、もう誰も山へのぼらせないことになったんだ」

「それはおかしいね」と彦太は口をとがらせていった。「青髪山の魔神をこわがるなんて迷信だよ。そんな迷信をかついでいたのでは、いつまでたっても日本は世界のお仲間にはいれないよ」

「だって、僕だって青髪山を思出してもぞっとするからね。地蔵の森にあやしい帯みたいなものがとんでいたこと、舟のような形をしている足跡、一造兄さんが行方不明になるし、大雪崩はあるし、それから大吹雪――そうそう、それにあのとき僕の手が血だらけになっていたことを君もおぼえているだろう。こんなにあやしいことだらけだもの」

そういった五助の顔には血の気がなかった。