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せつま

雪魔

海野 十三

「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页

青空文庫

五助は息をはずませながら「A型じゃなかったとでもいうのかい」

「そうなんだ。A型ではない。だからあの血は一造さんから出た血ではない」

「ああ、うれしい。兄さんの血ではなかったのか」と五助はとびあがって喜んだが、やがてふと顔をくもらせ

「じゃあ、あの血は誰の血だったんだろう。もしや……もしや……」

五助はその先をいうことができなくなった。彼の身体はぶるぶるとふるえ始めた。

(ああ、するともしや……もしやあの血は、一造兄さんがピストルで誰かをうって、傷つけた血ではなかろうか。そうなると、兄さんは人をピストルでうったことになる。いや、ひょっとしたらそれよりも悪いことなのではなかろうか。兄さんが人殺しをした! ああ、そんなことではないのかしら)と、五助は思いなやんでそこに立っていられなくなり、土の上へどしんと尻餅をついた。

「あの血の型は、今いったとおり、A型でもなく、またO型でもなく、B型でもなく、AB型でもなかった」

「えっ、じゃあ……人間じゃなく、けだものの血かね」

人間の血液型は、四つに限っている。それのうちに入らなければ、あとはけだものではないのかと五助は首をかしげた。