轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
彦太はそれを拾い上げたが、それは彦太のものではなかった。
「ぼくんじゃないぞ」
「じゃあ誰のだろう」
「へんだねえ。こんなところに手帳を落とした者がいるなんて……」
二人は顔をよせて、その手帳のページをひらいて中をしらべた。
「あ、これは兄さんのだ」
「えっ、一造兄さんの手帳かい」
「そうだとも。文字に見おぼえがあるし――あ、ほら、そこにほくの名が書いてある」
なるほど、五助のいうとおりだった。『五助よ、気をつけよ、危険がせまっている、早くふもとへ引きかえせ……』
「あ、兄さんが、危険をぼくらに知らせているんだ」
「そうだ。よし、先を読もう」
二人はこわさも忘れて、その手帳にかじりつくようにしてその先を読んだ。それには次のようなことが走り書になっていた。
――五助よ、気をつけよ、危険がせまっている、早くふもとへ引きかえせ。
兄さんはゆだんをしていて失敗した。きょう(十二月二十五日)兄さんがかんそくしていると、とつぜん穴の奥がくずれる音がしたと思う間もなく、奥から怪しい灰色の人ともけだものともつかぬものがはいだしてきて、兄さんに組みついた。兄さんはこれを相手にたたかい、はじめのやつはたおした。