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せつま

雪魔

海野 十三

「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页

青空文庫

「五助ちゃん。何か悪いことをやっているのかい」

彦太は、心配になるものだから、遠慮なく聞いた。すると五助は目を丸くして、首を左右に振った。

「彦くんのことだから、何もかくさないで話をするけれどね、実は一造兄さんが久しく山の中にこもっているんだ」

「へえ、そうかい」

「一造兄さんは、雪の中に大きな穴を掘ってその中にこもっているんだ。そして休みなしにカンソクをしているんだよ」

「カンソク? それは何のこと」

「僕もよく知らないけれどね、器械をたくさん持ちこんでね、地面の温度をはかったり、地面をつたわって来る地震を、へんな缶の胴中へ書かせたりしているのさ。これは春までつづけるんだって」

彦太は、それが何のことやら分らなかった。しかし一造兄さんといえば、東京の何とか大学の大学院学生で、いつもこんな科学実験をやっている人だった。だからそういうことがかくべつ悪いことであるはずがないと安心した。

「じゃあ研究のために観測しているんだろう。それなら悪いことじゃないから、村の人たちにかくさなくてもいいじゃないか」

「しかしね、一造兄さんはこのことは黙って居れときびしく命令を出しているんだよ。