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せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
魔神の山
そのとき五助は、さらに彦太の方へすり寄っていった。
「実はね、一造兄さんはね、この冬こそ、青髪山の魔神の正体をつきとめてくれると、はりきっているんだよ」
「魔神の正体をだって。しかしそんな器械で魔神の正体が分るだろうか。第一、あの山に魔神がすんでいるなどというのは伝説なんだろう。誰もほんとうに見た者はないんだから……」
彦太がそういうと、何思ったか五助は友の腕をしっかりつかみ、耳に口をあてた。
「ところがね、彦くん、魔神は実際あの山に居るんだよ」
「うそだよ、そんなこと」
「だって……だって見たんだよ、この僕が!」
「ええっ、君が魔神を見たって……」
彦太はそれを聞くと頭がふらふらした。
魔神の山
五助と彦太とは、身をかためて、粉雪のちらちら落ちる戸外へ出た。頭には雪帽を、身体には簑を、脚には長い雪ぐつをはき、かんじきをつけた。そして二人の背中には、食料品と燃料と水と酒とが、しっかりくくりつけられた。青髪山の雪穴の底で、観測をつづけている一造へとどける生活物資だった。
「彦くん、やっぱり君は行かない方がいいよ。お雪を連れていけばいいんだから」
お雪というのは五助の妹だった。