轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
でんぽう
電報
織田 作之助
「週刊朝日」1944(昭和19)年10月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,565 字 · 6 页
鶴さんが帰って来ないのだ。だんだん夜が更け十二時が鳴った。鶴さんはやっぱりあたしを毛嫌いして帰らぬのだと、おろおろ泣きだしたところへ、電報が来た。照井が玄関へ受け取りに出て、配達人が一枝だったので、驚いた。
「やあ、自転車が役に立ちましたね。いつかあんなことをいって済みません」
一枝はだまって暗い戸外へ出た。電報は「ゾ ウサンノタメシヨウガ ツヤスミヘンジ ヨウ」カエラヌ」ツルキチ」鶴さんからオトラ婆さんに宛てたものだった。婆さんはあたしゃ毛嫌いされていたわけじゃないと、すぐ旅ごしらえして、鶴さんのところへ行って選鉱婦をするのだと出掛けようとすると、三人は、じゃ俺たちも工場へ帰ろう。
小隊長の面倒を千代はじめ三人の娘たちにたのむことにして一同が千代の乗合馬車に乗り込んだのは、もう夜明に近かった。海沿いの道を馬車は走った。途中、駅から帰って来る芳枝に会い、芳枝も乗った。白崎は誰の真似ともなく赧くなっていた。やがて昭和二十年の元旦の太陽が前方の海に昇りはじめる頃、いきなり、
「照井さアん!」
はるかうしろから、声がした。照井が驚いて馬車から半身乗り出すと、自転車に乗った一枝が必死になってあとを追うて来るのである。