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でんきかんばんのしんけい
電気看板の神経
海野 十三
「新青年」博文館、1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,480 字 · 29 页
不吉な問題が一同の間に燃え拡がって行った。
「あら、すうちゃんが見えないじゃないの」
と叫んだ娘がいる。
「昨夜ここへ泊ったわよ、ほら、その蒲団があの人のじゃないの。お小用にでもいったんじゃないかしら、だけどこうなると、一々気味がわるいわねえ」
鈴江の行方については兎も角も、一方お千代の惨死体が、又もやカフェ・ネオンの三階に発見されて大騒ぎが始まった。またしても言うが、お千代の最後は惨鼻の極だった。彼女はどうしたものか、夜中に開かれた表向きの窓から、半身を逆に外へのり出し、丁度窓と電気看板との間に挿って死んでいた。だから暁け方になってようやく通行人が、電気看板の上端からのぞいている蒼白い脛や、女の着衣の一部や、看板の下から生首を転しでもしたかのように、さかさまになってクワッと眼を開いている女の首と、その首の半分にふりみだれた黒髪とを発見して大騒動になった。お千代は晴着をつけたまま殺されていた。矢張り心臓には短刀がプスリと突きたてられ、警視庁で眼をつけていた万創膏も肩のあたりに発見せられた。すべて同一手法の殺人である。そして電気殺人たることは判っているのにもかかわらず、それを瞞著しようとてか短刀を乳房の下に刺しとおしてあるではないか。