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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
まっさきにそれを見つけたのは、るすをしていた高一の妹ミドリです。
「あらあら、鳩があんなになって……」
ミドリは、はしりよって鳩舎の上に、つばさをひろげたままたおれている第一号を、そっとおろして、胸にかかえてやりました。
そのとき上の方で、くわっくわっとあやしいこえがきこえました。
第一号はそれをきくと、くるしい中からくうくうとないて、ミドリにあぶないから用心なさいとしらせました。ミドリがすぐに家の方にかけださなかったら、電気鳩のために、どんなひどいけがをしたかわからないのです。
「ミドリちゃん。なにをさわいでいるの」
軍服すがたの良太おじさんが顔をだしました。
血にそまった鳩のあしから、高一のはしりがきした紙きれがはずされました。
「これはたいへんだ」
と、良太おじさんは、顔色をかえていいました。
「ミドリちゃんのお父さまが、あやしい一団につかまっているそうだ。さっそく憲兵隊へしらせなきゃいかん」
憲兵軍曹である良太おじさんは、じつはミドリのお父さまが、ある大事なご用をひきうけて旅にでたのに、いつまでたってもかえってこないのをしんぱいして、ちょうどいま、たずねてきたところなのでした。