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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
魔術師
鎮守さまのお祭は、いま、おみこしがかえってきたので、村の人たちは、その方に気をとられて、わっわっというさわぎのさいちゅうです。
こっちは、あまり見物人のはいっていない、電気鳩によくにた世界一のかしこい鳩をつかう、見世物小屋のなかです。印度服をきた鳩つかいに手をとられて、ミドリは、そのぶたいのうえにあがりましたから、兄の高一はなんだか、胸さわぎがしてなりません。
「さあ、鳩さん。お嬢さんのおとしは?」
と鳩つかいは、耳を鳩のそばへ近づけました。
すると鳩は、鳩つかいの耳のなかを、くちばしでもって、ちょっちょっとつきました。
「ははあ、そうですか」
と、鳩つかいは、さもわかったような顔をして、見物人の方に向い、
「鳩さんが申しますには、このお嬢さんのおとしは十歳だそうです。お嬢さんあたりましたか」
ミドリは、ほんとうに自分のとしをあてられたので、おどろいてしまいました。見物人は、手をぱちぱちたたいて鳩をほめました。
「さあ、そのつぎはお嬢さんのお名前ですが、鳩さん、これはなかなかむずかしいが、あてられますか」
鳩つかいは、また耳を鳩にちかづけました。