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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

「しめた! ぼくの家の鳩がきたぞ」

きゅうに、にこにこ顔になった高一は、あかり窓の下にすりよって、ぴいぴいと口笛をふきならしました。

すると、くう、くう、くうとなきながら、ばたばたと羽ばたきして穴ぐらにとびこんできたのは、まさしく、高一のかわいがっていたハグロとアシガラという二羽の伝書鳩でした。

鳩は、高一の肩にとまって、くう、くうとなきたてます。鳩にも、主人の一大事がわかっていたのでしょう。

高一は、かわいい鳩に、なつかしげにほおずりをしてやりました。

しかし、いつまでもそうしていられないことを、よく知っていた高一は、体をかがめて、自分のズボンのうらのきれを口でくわえると、べりべりとやぶりました。そして、そのきれを、口うつしにハグロにくわえさせると、ぴいぴいぴぴいと口笛をふきました。

その、ぴいぴいぴぴいという口笛は、

「はやくお家におかえりなさい」

という鳩の号令だったのです。ですから、ズボンのきれをくわえたハグロは、さっきはいったばかりのあかり窓から、いさましく外にとびだし、高一の家へかえってゆきました。

ちょうど、家の前に高一の愛犬マルがいるのをみると、ハグロはその前に、くわえてきたズボンのきれをおとし、マルを案内するかのように、さきにたってとびました。