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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

そして、ごろごろころがっているうちに、ぼちゃあんと海中におちてしまいました。

高一は、目をまわしてしまいました。気がついたときには、たるはしずみもせず、波のまにまに、ただよっているようでしたが、体はぐったりつかれて、ねむくてしかたがありません。

無人島

それからいく時間たったのか、おぼえていませんが、高一は、ねむりからさめました。

「おや、海の中にゆられゆられていたと思ったのに、これは、いったいどうしたんだろうなあ」

まったくへんなことでした。高一は、やはりたるの中にとじこめられているのにたるはゆれもせず、じっとしているのです。

「これはたいへんだ」

高一はたるのそとに、なにか音でも聞えはしないかと耳をすましましたが、なんの音も聞えません。そこで、大決心をして、たるのふたを力まかせにおしました。

ふたは、ぽかりとあきました。高一はたるの中から首を出しました。

「あっ、海岸だ!」

嵐はすっかりおさまり、朝日はまばゆく海上にかがやいていました。あたりはまっくろな砂が、いちめんにある美しい海べですが、うしろには、けわしい岩山がそびえていて、おそろしげに見えます。