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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
なるほどうまそうなりんごだ――しかしこの小僧め、どこから来たか、ゆだんがならないぞ」
と、つばをのみこんだり、目をむいたり。
高一は、敵兵と仲よしにならなければいけないと思い、一番おおきいりんごをひとつとって、敵兵の手にのせてやりました。
敵兵は、おどろいた顔をしましたが、やがて、ポケットからお金を出そうとしますので、高一は、いらないいらないとおしかえし、そして、早くたべろと手まねですすめました。
敵兵はりんごをたべると、きげんよくなりました。そこで、高一はトーチカの方へりんごを売りにゆきたいから、つれていってくれと手まねをし、またひとつりんごをやりました。
このよくばり敵兵はすっかりよろこんで、高一を、トーチカの方へつれてゆきました。
「おいみんな、うまいりんごを売りにきたぞ」
そういうと、中からどやどやと敵兵があらわれました。
りんごはうまいうえに、ねだんもたいへんやすいので大人気です。
ところがとつぜん、高一はうしろから大きい手で、かたをつかまれました。
「こら、小僧。口がきけないふりなどをしているが、あやしいやつ、お前は日本のスパイだろう」
高一が、ふりかえってみると、りっぱな敵の将校でした。