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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

じつにものすごいいきおいです。さすがの敵兵も、手のくだしようがありません。

高一は、ころあいをみはからって、軍用犬にひとつの大切な命令をつたえました。軍用犬は、まっていましたとばかり、トーチカのおくめがけてかけだしました。そのいいつけはなんであったでしょうか。

高一と、敵兵とのたたかいは、つづけられましたが、電気鳩には、とてもかないません。そのうちに、犬がわんわんほえながらもどってきました。

「おお、わかったか。よしいこう。さあ、つれていっておくれ」

高一は電気鳩をつれて、軍用犬のうしろからかけだしました。

「わん、わん、わん」

軍用犬は、ひとつのとびらの前で、しきりにほえています。しかし、そのとびらには大きな錠がおりていて、あけることができません。

「そうだ、これは電気鳩にたのもう」

高一は、電気鳩を錠にぶつからせました。すると錠から、ぱちぱち火花がでたかと思うと、たちまちやけきれてしまいました。

高一は、とびらに手をかけてひきました。とびらはすぐあきました。

「ああ、あいた」

と、さけんで、高一は中にとびこみました。うすぐらいへやのすみに、ひげぼうぼうの日本人が手をしばられていました。