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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
「あっ、お父さまだ」
高一はなみだとともにかけよりました。
「おお、お前は――お前は高一か!」
秋山技師は、よろよろとたちあがって、高一にからだをすりつけました。あまりの思いがけなさに、またあまりのうれしさに、あとはなみだばかりで言葉もでません。
「さあお父さま。すぐここをにげましょう」
「ああ高一、それはだめだよ。敵兵にみつかってころされるばかりだ」
「お父さま、大丈夫ですよ。ぼくは電気鳩をもっているんですから」
「えっ、電気鳩……」
「そうです。電気鳩さえあれば、どんな大敵がきてもだいじょうぶです。さあはやくにげましょう」
高一が、父秋山技師をつれてトーチカを出たとき、ちょうどそこへ、大石大尉が陸戦隊をひきつれてかけつけました。大尉も決死のかくごで、中の島へせめこんできたのです。しかし、敵は電気鳩にやられてよわりきっていましたので、わけなく上陸できたそうです。
「高一君、じつにりっぱなはたらきをしたね、おめでとう。みんなでばんざいをとなえよう」
トーチカの上に日章旗をたてると、大尉のおんどで、陸戦隊や、高一やお父さままで力いっぱい、ばんざいをさけびました。