轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しもばしら

霜柱

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1960(昭和35)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,328 字 · 29 页

青空文庫

――明くる朝、喜兵衛は家僕に向って、昨夜のことを口外するなと、固く命じて登城した。石沢に相談しようとも思わなかった。相談することはない、手段はたった一つなのだ。

喜兵衛は胸の中で怒りを育てた。怒りが少しでも軽くなったり、決心した気持がにぶったりすることをおそれ、絶えず義十郎の言葉や態度を、ことこまかに思い返していた。

「石沢の云ったことは本当だ」彼は下城しながら呟いた、「繁野さんは子の育てかたを後悔して、おれには必要以上にきびしくしたんだ、ぶきような人だな、正直すぎてぶきような人だ、育てかたで人間の性分がきまるなら、世の中に悪人なんか出やあしないのに、うん、おれを好いているというのも本当らしい、たぶんおれが、あいつのようになることを恐れたんだろう、いい人だな」

「あんないい父親を持ちながら」とまた彼は呟いた、「ひとでなしめ」と云って唾を吐いた、「きれいに片をつけてやるぞ」

その夜、喜兵衛は差替えの刀を出して、手入れをした。常の差料は使いたくなかった。犬を斬るよりけがらわしい、済んだらそのまま捨ててしまおう、と思っていた。――家僕に起こす時刻を告げ、彼はいつもより早く寝間へはいり、なにも考えずに熟睡した。