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あおいとけいだい

青い時計台

小川 未明

「処女」1914(大正3)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,476 字 · 7 页

青空文庫

二

さよ子は、よい音色の起こるところへ、いってみたいと思いました。けれども、まだ年もゆかないのに、そんな遠いところまで、しかも晩方から出かけていくのが恐ろしくて、ついにゆく気になれなかったのでありますが、ある日のこと、あまり遅くならないうちに、急いでいってみてこようと、ついに出かけたのでありました。

二

さよ子は、草原の中につづいている小径の上にたたずんでは、幾たびとなく耳を傾けました。西の方の空には、日が沈んだ後の雲がほんのりとうす赤かった。さよ子は、電車の往来しているにぎやかな町にきましたときに、そのあたりの騒がしさのために、よい音色を聞きもらしてしまいました。これではいけないと思って、ふたたび静かなところに出て耳を澄ましますと、またはっきりと、よい音が聞こえてきましたから、今度は、その音のする方へずんずん歩いていきました。いつしか日はまったく暮れてしまって、空には月が出ました。

さよ子は、かつて、きたことのないような町に出ました。西洋ふうの建物がならんでいて、通りには、柳の木などが植わっていました。けれども、なんとなく静かな町でありました。

さよ子はその街の中を歩いてきますと、目の前に高い建物がありました。