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せいしゅんろん
青春論
「文学界 第九巻第十一号、第十二号」1942(昭和17)年11月1日、12月1日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,657 字 · 69 页
それは女房とか家庭というもの自体にこのような魔力があるのではなく、女房や家庭をめぐって、こんな風な考え方が有り得るという事柄のうちに、この考えが真理でもあるという実際の力が存在しているのである。こういう考え方があり、こういう風に考えることによって、こういう風に限定されてしまうのである。真理の一面はたしかにこういう物でもある。
実際、わが国に於ては、夫婦者と独身者に非常にハッキリと区別をつけている。それは決して事変このかた生めよ殖せよのせいではなく、もっと民族的な甚だ独特な考え方だと僕は思う。独身者は何かまだ一人前ではないというような考え方で、それは実際男と女の存在する人間本来の生活形態から云えばたしかに一人前の形を具えておらぬかも知れぬけれども、たとえば平野謙の如き人が、まるで思想とか人生観というものにまで、この両者が全然異質であるかのような説をなす。俗世間のみの考えでなく、平野君ごとき思索家に於ても、尚、かような説を当然として怪しまぬ風があるのである。
僕はかような考え方を決して頭から否定する気持はない。むしろ甚だユニックな国民的性格をもった考え方だと思うのである。