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せいしゅんろん
青春論
「文学界 第九巻第十一号、第十二号」1942(昭和17)年11月1日、12月1日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,657 字 · 69 页
というものに何の感覚も持たぬであろう。
だから女の人にとっては、失われた時間というものも、生理に根ざした深さを持っているかに思われ、その絢爛たる開花の時と凋落との怖るべき距りに就て、すでにそれを中心にした特異な思考を本能的に所有していると考えられる。事実、同じ老年でも、女の人の老年は男に比べてより多く救われ難いものに見える。思考というものが肉体に即している女の人は、その大事の肉体が凋落しては万事休すに違いない。女の青春は美しい。その開花は目覚しい。女の一生がすべて秘密となってその中に閉じこめられている。だから、この点だけから言うと、女の人は人間よりも、もっと動物的なものだという風に言えないこともなさそうだ。実際、女の人は、人生のジャングルや、ジャングルの中の迷路や敵や湧き出る泉や、そういうものに男の想像を絶した美しいイメージを与える手腕を持っている。もし理智というものを取去って、女をその本来の肉体に即した思考だけに限定するならば、女の世界には、ただ亡国だけしか有り得ない。女は貞操を失うとき、その祖国も失ってしまう。かくの如く、その肉体は絶対で、その青春も亦、絶対なのである。