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あおばのした

青葉の下

小川 未明

「せうがく三年生」1938(昭和13)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,066 字 · 3 页

青空文庫

「あの桜の木をきっては、かわいそうだ。春になっても、花が見られないし、夏になっても、せみがとれないものなあ!」と、たがいに話し合いました。子供たちの不平が耳に入ると、親たちも、いつかきることに、はんたいしました。それで村の人々が桜の木を道のそばへうつすことになったのです。おおぜいの力ですると、どんなことでもされるものです。大きな桜の木は、じゃまにならぬところへうつされて、おばあさんの茶店は、やはりその木の下にたてられました。

「おばあさん、今年は、花がさかないのう。」

「そうとも、人間でいえば、大病人だぞ。かれなければいいが。」と、おばあさんは、しんぱいしました。天気がつづくと、おばあさんは、下から水をくみ上げて、根もとへかけてやりました。

「おばあさん、僕がくんできてやるから。」

ある日、学校の帰りに賢吉は、すぐはだしになって、バケツを下げて、峠をかけ下りました。それから、とし子も、正二も、村の子供たちは、学校の帰りに、水をくんで、桜の木の根にかけてやるのを日課としたのです。どうでしょう。木は、ふたたび昔の元気をとりもどしました。いま、大きな枝には青葉がふさふさとして、銀色にかがやいています。