轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しずおかじしんひがいけんがくき
静岡地震被害見学記
寺田 寅彦
「婦人の友」1935(昭和10年)9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,949 字 · 10 页
の研究者の行手に待伏せしているのである。
静岡へのバスは吾々一行が乗ったので満員になった。途中で待っていたお客に対して運転手が一々丁寧に、どうも気の毒だが御覧の通り一杯だからと云って、本当に気の毒そうに詫言を云っている。東京などでは見られない図である。多分それらの御客と運転手とはお互いに「人」として知合っているせいであろう。東京では運転手は器械の一部であり、乗客は荷重であるに過ぎない、従って詫言などはおよそ無用な勢力の浪費である。
この辺の植物景観が関東平野のそれと著しくちがうのが眼につく。民家の垣根に槙を植えたのが多く、東京辺なら椎を植える処に楠かと思われる樹が見られたりした。茶畑というものも独特な「感覚」のあるものである。あの蒲鉾なりに並んだ茶の樹の丸く膨らんだ頭を手で撫でて通りたいような誘惑を感じる。
静岡へ着いて見ると、全滅したはずの市街は一見したところ何事もなかったように見える。停車場前の百貨店の食堂の窓から駿河湾の眺望と涼風を享楽しながら食事をしている市民達の顔にも非常時らしい緊張は見られなかった。屋上から見渡すと、なるほど所々に棟瓦の揺り落されたのが指摘された。