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ひめいよきょうじゅのべん
非名誉教授の弁
和辻 哲郎
「心」1952(昭和27)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,519 字 · 11 页
東京大学などではそれが二十年以上ということにきまっている。助教授の時代の年数は半分に数える。講師や助手の年数も何分の一かに加算されるはずである。このやり方はほかの古い大学でも採用していると思う。
このやり方だと、一部の教授の我執や感情が入り込む余地はない。その代わり、研究をそっちのけにして内職ばかりやっている教授でも、勤続年数が二十年以上でさえあれば、名誉教授に推薦され得る。これは学術上の功績や大学に対する功績を本来の理由としている名誉教授の制度からいうと、少し困ることになるかも知れないが、それでも前に言ったような弊害に比べれば、害がはるかに少ないのだそうである。こういう事情をわたくしに説明してくれたのは、なくなった今井登志喜君であるが、同君はその意味で固く年数制を支持していた。名誉を表彰するものであったはずの位階勲等が官吏の勤続年数によって自動的に与えられていた時代にあっては、これは当然のことであったかも知れない。
大学教授の大部分は、このことをちゃんと承知していたのである。位階勲等が勤続年数の表示であるように、名誉教授もまたそうであった。もちろん人によっては、このことを承知しながらも位階勲等の高いことを喜び、それと同じように名誉教授となることを熱望したでもあろう。