轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひじょうのあい

非情の愛

豊島 与志雄

「中央公論」1947(昭和22)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,831 字 · 24 页

青空文庫

椰子の実を灯籠風にくりぬいたのへぽつりと灯火をつけてる、小さな酒場「五郎」に名物が一つ出来た。名物といっても、ただ普通の川蟹で、しかも品切れのことが多い。千葉県下の河川で獲れるのだが、数量は少い。樽の底に水をひたひたに注ぎ、飯粒をばらまき、そこに飼っておくと、いつまでも元気よく生きている。それを、※(「火+喋のつくり」、第3水準1-87-56)でて食べるのである。この川蟹が品切れになっても、一般に愛用される海蟹は決して店に置かなかった。――それには理由があった。

秦啓源が日本にやって来て、大使館に籍を置いて暫く滞在することになった時、歓迎の真意を表する仕方を私はあれこれと考えあぐんだ末、川蟹を思いついたのである。嘗て長らく日本にいて、親しい間では「シンさん」ではなく「ハタ君」などと呼ばれていたそういう彼だから、ありふれたことでは面白くあるまい。真に打ち解けた気持ちで、吾々の「五郎」で焼酎を飲み川蟹をつっついたならば……。丁度晩秋から初冬へかけて、彼地では、楊子江下流地域に、ドザハ(大石蟹)と称する川蟹が氾濫する。先年私は上海に行ってた時、殆んど毎日のように、彼と一緒にその川蟹を食べたものだ。