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めんせきのあつみ
面積の厚み
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十五巻(補遺)」河出書房、1953(昭和28)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,111 字 · 15 页
彼女自身にとっては尊い名誉心を傷(そこな)われた不平と、一種の公憤に心を乱された彼女は、陰気な顔をして無言のまま、席に復すほかなかったのである。
自分さえ正しければ、何が来たって逃げまいと決心しながらも、若し母が今ここにいてさえくれたらと思うと、急に悲しくなって、危く涙が零(こぼ)れそうになった。
ところが、同じ日の昼の休時間のことである。
廊下の隅で、日向ぼっこをしていた彼女のところへ、当番だった三崎さんと云う子が来て、
「伊那田さん、飛田さんがどうかして先生に叱られてるのよ」
と云いながら、直ぐ傍に並んで腰をかけた。少し頭の足りない飛田さんが、口をあけてニコニコしながら、何か怒っている先生の顔を見ていたとか、
「もう少し立つと、きっとあの人指をしゃぶり出すに違いないわ。まるで赤ちゃんみたいにしゃぶるんだもの、可笑しいわ、私もう一遍行って見て来ようかしら」
などと云いながら、まるで何か嬉しいことに出会ったように、ハアハア、ハアハア云って笑った。
「何故叱られたの」
「何故なんだか私知りゃあしないわ、だけどさっき高山さんが云ってたわ」
「なんて」
「いや、私。