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おんぱのさつじん

音波の殺人

野村 胡堂

「新青年」1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,399 字 · 30 页

青空文庫

「見たも同様に」

鳥子は少ししどろもどろになりましたが、頭の中で証拠を組み立てようとする必死の眼が焼き付くように、千種に迫ります。

「それも面白い考ようだが出来ない事が二つある」

「――――」

「一つは岡崎さんが隣の部屋から窓の外へ廻るには、鳥子さんの立っている廊下か、女中達の居るお勝手を通らなければならない」

「窓からだって飛降りられるでしょう」

「窓から飛降りて庭をグルリと廻って人を殺して元の窓から帰ったんでは、あの騒に駆け付けるのが遅くなる筈だ――ところが、皆んな一緒に駆け付けた――と女中達も、鳥子さん自身も証言している」

「――――」

「それから、窓は相当に高いから、背の低い岡崎さんでは、三角棚の上から拳銃を取ることも、狙いを定めることも、六つかしい」

「踏台をしたら?」

「洋館で外はあんなに綺麗に取片付けられている。あの辺には踏み台になるものは一つも無い」

千種はほんの一時間ばかりの間に、鳥子の疑を突き崩すだけの材料を集めて居たのです。

「まア、貴方は岡崎さんを弁護なさる積り?」

「そんな事は無い」

「口惜しいワ、扉の隙間から、窓のところに、白いものがチラリと見えたんですもの」