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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

21 かごやの客

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,550 字 · 27 页

青空文庫

なんと、そんなもんでしょう。……ねえ、お仲間さん、そういう訳なんだからそんなところに引っこんでいねえで、どうかこっちへやって来ておくんなせえ」

「兄貴のいう通りだ、さあさあ、こちらへ。こちらへ」

中間や陸尺やらが五人。欅のまあたらしい飯台をとりまいて徳利をはや三十本。小鉢やら丼やら、ところも狭におきならべ、無闇に景気をつけている。

アコ長は、そちらへ愛想笑いをしながら、

「ねえ、とど助さん、みさんがああおっしゃってるから、お辞儀なしにあっちへ移ろうじゃありませんか」

「いかにも、これもなにかの因縁。大慶至極でござる。そういうご趣向なら、いっそ表戸をしめてしまって、朝までとっくりとやってはいかがなもんでしょう」

「いよう、軍師、軍師!」

「それがいい、それがいい」

さっきの冗いやつが先に立ってバタバタと表戸をしめてしまう。

さあ、これで邪魔が入らないとばかりに、中間や陸尺のあいだへ割りこんで、たちまち差しつ押えつ、ふたりとも引きぬきになって湯呑で大兜。

「さア、ドシコと注ぎまッせ、そんなことでは手ぬるい手ぬるい」

アコ長も、負けず劣らず、

「ご亭主、ご亭主。継立て継立て、銚子のかわりを三枚肩でお願いしやす」