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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

09 丹頂の鶴

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,040 字 · 26 页

青空文庫

……両人は、辰の刻、お仮屋前にてお出むかいいたし、お鷹狩のあいだに代地ならびに代のかこいの検証をすませておく。午の下刻、上様ご中食の後、お仮屋青垣までお出ましになるが、特別の思召しをもって、垣そとにて両人に床几をさしゆるされる。……介添はおのおの一名かぎり。先番は籤にてきめ、各自、死体見分がおわらば、ただちに、御前にて吟味のしだいを披露いたす。……いかなる次第にて死亡いたしたものか。また、人手にかかったものならば、いかなる方法、いかなる理由によってかような無益なことをしたか、本末をわけ、明白なる理を推して、即座にお答え申しあげねばならぬ」

甲斐守は、緊張で蒼ざめた顔をふりあげて、

「さきほど相吟味、問答対決と仰せられましたのは?」

伊勢守はニンマリと笑って、

「そこが、真剣勝負。相手の吟味に異存あらば、反駁反撃は自由。相手が屈服するまで、討論いたしてさしつかえない」

「ははッ」

「吟味聞役は、佐田遠江守。審判役は手前があいつとめる。対決終了いたさば、石庵がお鶴の腑分をなし、両人吟味の実証をいたす。……勝をとったほうには、奉行へご褒美として時服ひと重。吟味のものには、黄金五枚、鶴の御酒一盞くだしたまわる。