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かお
顔
宮本 百合子
「中央公論」1924(大正13)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,099 字 · 23 页
その褒めかたがルイザの心持を曇らせたのであった。
彼等が、小ざっぱりとした安息日の盛装で教会の広場に現われると、真先に見つけて近づいて来たのは仕立屋のカールであった。
彼は、のしのしと大股に近づいて来た。そして腕を振り廻してハンスと握手した。
「どうだね」
彼は、酒肥りのした厚い瞼の間から、じろりとルイザの抱いているものの方を見た。
「男かね、女かね」
ハンスは、口のまわりに微かにばつの悪そうな表情を浮べながら低く答えた。
「男の子だ。――親父の名を貰ってやったさ」
「ほう! 男とはうまいことをやりおった。せっせと金箱を重くしても、娘っ子に攫(さら)われちゃあ始らないからな」
仕立屋のカールは、ルイザの方へやって来た。ルイザは初めての児を褒められた嬉しさに、自分の方から膝をかがめて挨拶した。
「どれどれ、一寸のぞかせて下さい。儂(わし)でもこれで三人孫をあやして呼吸は知っているよ」
ルイザは、フランツの額の上からレースをどけて顔全体がよく見えるようにした。
カールは、大儀そうに腰をかがめ、キ、キ、キ、と舌を巻きあげながら、年寄らしい愛嬌をふり撒いた。
「ふむ、なかなかよい児だ。