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かぜとひかりとはたちのわたしと
風と光と二十の私と
「文芸 第四巻第一号(新春号)」1947(昭和22)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,154 字 · 30 页
牛乳屋の落第生におどかされて、たぶん何か、おどかされる弱い尻尾があったのだろう、そういうことは立入ってきいてやらない方がいいようだ、ともかく仕方なしに盗んだのである。お前の名前など言わずに鉛筆の代金は払っておいてやるから心配するなと云うと、喜んで帰って行った。その数日後、誰もいないのを見すましてソッと教員室へやってきて、二三十銭の金をとりだして、先生、払ってくれた? とききにきた。
牛乳屋の落第生は悪いことがバレて叱られそうな気配が近づいているのを察しると、ひどくマメマメしく働きだすのである。掃除当番などを自分で引受けて、ガラスなどまでセッセと拭いたり、先生、便所がいっぱいだからくんでやろうか、そんなことできるのか、俺は働くことはなんでもできるよ、そうか、汲んだものをどこへ持ってくのだ、裏の川へ流しちゃうよ、無茶言うな、ザッとこういうあんばいなのである。その時もマメマメしくやりだしたので、私はおかしくて仕方がない。
私が彼の方へ歩いて行くと、彼はにわかに後じさりして、
「先生、叱っちゃ、いや」
彼は真剣に耳を押えて目をとじてしまった。
「ああ、叱らない」