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かぜとひかりとはたちのわたしと

風と光と二十の私と

坂口 安吾

「文芸 第四巻第一号(新春号)」1947(昭和22)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,154 字 · 30 页

青空文庫

「かんべんしてくれる」

「かんべんしてやる。これからは人をそそのかして物を盗ませたりしちゃいけないよ。どうしても悪いことをせずにいられなかったら、人を使わずに、自分一人でやれ。善いことも悪いことも自分一人でやるんだ」

彼はいつもウンウンと云って、きいているのである。

こういう職業は、もし、たとえば少年達へのお説教というものを、自分自身の生き方として考えるなら、とても空虚で、つづけられるものではない。そのころは、然し私は自信をもっていたものだ。今はとてもこんな風に子供にお説教などはできない。あの頃の私はまったく自然というものの感触に溺れ、太陽の讃歌のようなものが常に魂から唄われ流れでていた。私は臆面もなく老成しきって、そういう老成の実際の空虚というものを、さとらずにいた。さとらずに、いられたのである。

私が教員をやめるときは、ずいぶん迷った。なぜ、やめなければならないのか。私は仏教を勉強して、坊主になろうと思ったのだが、それは「さとり」というものへのあこがれ、その求道のための厳しさに対する郷愁めくものへのあこがれであった。教員という生活に同じものが生かされぬ筈はない。