轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふうちそう

風知草

宮本 百合子

「文芸春秋」1946(昭和21)年9~11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,107 字 · 88 页

青空文庫

「二度ともう憎らしいことは云わないから、あなたも約束して。さっきのようなことは云いっこなし」

自分たちの生活を毒し、あわよくば其をこわす力は、決して無くなっていない。ひろ子は身をひきしめてそのことを思った。正面から攻撃しなくなったとき、それは、嘗て打撃を加えたその痕跡から、そのひずみから、なお襲いかかって来る。ひろ子は、頬をもたせている重吉の左の膝の上の方を考え沈みながら撫でた。そこに、着物の上からもかすかにわかる肉の凹みがあった。大腿のところに、木刀か竹刀かで、内出血して、筋肉の組織がこわされるまで擲り叩いて重吉を拷問した丁度その幅に肉が凹んでいて、今も決して癒らずのこっているのであった。

四

腰かける高いテーブルで、重吉が書きものをしていた。その下に低い机をすえて、ひろ子が、その清書をやっていた。

「何だか足のさきがつめたいな」

重吉が、日ざしは暖かいのに、という風に南の縁側の日向を眺めながら云った。十一月に入ったばかりの穏やかな昼すぎであった。

「ほんとなら今頃菊の花がきれいなのにね」

毛布を重吉の足にかけながらひろ子が云った。

「この辺は花やもすっかり焼けちまったのよ」