轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふうぼう

風貌

小山 清

――太宰治のこと

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,448 字 · 32 页

青空文庫

少し離れていて、そういう井伏さんの容子を見て、太宰さんは「井伏さんって、やさしい人だね。」と私の耳にささやいた。

太宰さんが逝くなられてから、井伏さんは「旧知の煩らわしさ」という言葉を発明された。師友に先立たれてしまうのは、心残りなことである。後にのこされた者の恨みはやり場がない。私にしても言い分のあるような、ないような気持である。生きていて顔を合わせる折があれば、なにも云うことはないのである。井伏さんの最近の作品に、テグスをつくるために、栗の木の虫を見つけに行こうと云う太宰さんのことが書いてある。そのくだりをここに引用させていただく。

「『虫は僕がつかまえます。』と太宰は云った。『はじめ、細い木の枝か何かを箸にして、虫をつかまえるんです。そいつを持って帰るうちに、次第に僕たち虫に慣れて来ます。』

『しかし、虫をむしる段になると、ちょっと難色があるね。』

『いえ、大丈夫です。さあ、この虫をむしれ、お前、この虫をむしれ、と大声で僕に云って下さい。僕は、決死の勇をふるって、むしります。目をつぶって、むしります。』

太宰としては妙な破目に立ちいたったのである。