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ふううのばんのこぞうさん
風雨の晩の小僧さん
小川 未明
在线阅读小川 未明《風雨の晩の小僧さん(ふううのばんのこぞうさん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,030 字 · 10 页
都会のあるくつ店へ、奉公にきている信吉は、まだ半年とたたないので、なにかにつけて田舎のことが思い出されるのです。
「もう雪が降ったろうな。家にいれば、いま時分炉辺にすわって、弟や妹たちとくりを焼いて食べるのだが。」
そう思うと、しきりに帰りたくなるのであります。けれど、出発のさいに、
「信吉や、体を大事にして、よく辛棒をするのだよ。」と、目に涙を浮かべていった母親の言葉を思い出し、また、同時に、
「どうせ一度は世の中へ出なければならぬのだ。どこへいっても家にいるようなわけにはいかぬ。奉公が辛いなどといって、帰ってきてはならぬぞ。」と、父親のいったことを思い出すと、いかに恋しくても帰られはしないという気がしました。
そうかと思うと、白髪の祖母の顔が、眼前に見えて、
「信や、いつでも帰ってこいよ。おまえには家があるのだから、ひどくしかられたり、辛棒ができなかったり、また病気にでもかかったなら、いつでもお暇をもらってくるがいい。そのときは、そのときで、田舎に奉公口のないではなし。」と、祖母は、いったのでした。
彼が、故郷のことを思い出すと、まずこのやさしい祖母の姿が浮かんだのです。