轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひやくにもおもてとかげ
飛躍にも表と蔭
山本 周五郎
――九日目感想――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,040 字 · 3 页
余事にわたるが、僕たちなかまに某という者がいてよく将棋を指す、どうせ下手同志のことであるが某は極めて合理性を尊び、あるときある相手と指しはじめるや、「駒組の出来ないうちに突いて来るやつがあるか」と云って怒ったことがある。鯱ノ里に敗れた笠置山の面上に、僕はその某の怒った表情を見るような気がした。
磐石と合った前田山も同じようにいけなかった。磐石が右上手を取りに行こうとしたとき、右へ動きながら取らせまいとした、その動きのなかに彼の合理性のゆらぎが見えたのである。磐石はそのゆらぎをさず仕勝っていたし、前田山はおれの力に立直る機会を得ずして敗れた。勝負を好き瞬間に仕勝つものと、好き瞬間を自分の力にまでひきつけてから勝つものとの差だ。
僕の好きな大邱山はますますいけない、楯甲に勝ちはしたが極めて味の悪いすまひぶりであった。気のせいか肉も少し落ちたようだし、まえのような全身これ胆といった感がうすれている。なんだか自分で自分の花期の過ぎたことを認めているように思える、こんなことではいけない。敢えていつまでも放胆な相撲をとれと云う訳ではないが、それが自分にとって真実であるなら恐れるところなく押切るべきである。