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ひだのかお
飛騨の顔
「別冊文藝春秋 第二三号」1951(昭和26)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,316 字 · 31 页
その首長は白馬に乗っており、それが今も皇室に先例をのこしているようだ。したがって、彼らは現今その古墳から発見される如くに相当高度の文化を持っていたが、居住の点では岩窟を利用したり、移動的テント式住居を慣用したりして、建築文化だけが他に相応するほど発達していなかったようです。またこの一族は山中に塩を探している。海から塩をとることを知らなかったようです。
彼らに木造建築法を教えたのは、彼らとは別系統の人々で、折よくヒダの先住民の中に木造建築文化をもつタクミ一族が居合せたのか、彼らがそれを支那、朝鮮から連れてきて一しょに土着したのか、それはハッキリしないが、人種の系統は別であったろうと思われます。
ヒダのタクミの顔とは、どんな顔なのだろう。一見して容貌も言葉も他国とちがうからいくら偽っても分る、という。それは千百年ほど前の官符の言葉ですが、今でもそんな特別な顔があるでしょうか。ヒダ人は朝敵となって、追われて地方へ分散した者が多いし、他国からヒダへはいって土着した者も多く、千百年の時間のうちには諸種の自然な平均作用があって、ヒダの顔という特別なものがもうなくなっているかも知れない。