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しゅせきとばっせき
首席と末席
佐々木 邦
「雄弁」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,378 字 · 15 页
同窓も皆似たり寄ったりだと思って諦めをつける。但し商館の支配人丈けは違う。私は初めの中横浜を通る機会のある毎に訪れたが、寺島君はその都度大きな家へ移って工面が好くなっていた。殊に欧洲戦争中に巨利を博して、その後又損をしたそうだけれど、先頃震災後母校の復興資金に一万円寄附したくらいだから、同窓中の成功者だろう。若しジョーンズ博士が生きていたら、矢張り神さまの意思だったと鼻を高くしたに相違ない。昔は親友でも今は貧富の懸隔が大分広くなって来た。その所為か此方からは自然足遠くなると思っていたところへ、最近先方から旅行の途中寄ってくれた。その折子供の話が出た。
「帝大も高等学校もこゝで間に合うのは結構だね」
「それで好い口があっても此処は動けないのさ」
「長男はもう出るのかい?」
「いや/\、未だ二年ある」
と私は此奴が卒業すると少し肩が抜ける。
「次男が高等学校か?」
「それから中学校に女学校に小学校が二人さ。有らゆる学校へ行っている。大変だよ」
「しかし教師値段もその後大いに騰貴したろうからね?」
と寺島君は昔のことを覚えていた。
「二十四五年かゝって二十五円から百六十六円六十六銭に上ったよ」