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がいこつのくろんぼ

骸骨の黒穂

夢野 久作

「オール読物」1934(昭和9)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,160 字 · 28 页

青空文庫

6

署長は感慨深そうに腕を組んで眼を閉じた。

「成る程のう。それでわかったわい。ツイこの頃までこの筑豊地方に限って、小泥棒が一つも居らんじゃった理由がわかったわい」

「……ハイ……藤六という奴は余程エライ奴じゃったと見えます」

「そうすると丹波小僧の銀次も、藤六のアトを慕うて来た仲間じゃな」

「いや、違います。丹波小僧は、藤六の処を出て、鍋墨の雁八とも別れてから後、大阪地方専門の家尻切りになりましたが、或る処で居直って人を殺したお蔭で、手厳しく追いこくられましたので、チョット商売にオジ気が付きましたものか、飴売に化けてこっちへ流れて来ましたが、偶然に藤六の店に目を付けてみますと、思いがけない藤六が住んでいる。しかもスッカリ耄碌している上に、相当の現金をシコ溜めていることがわかりましたので、それこそ悪魔の本性を現わしましてコッソリ彼の一軒屋に忍び込み、藤六の夜食の飯の中へ鼠取薬か何かを交ぜて、毒殺して後を乗取った……」

「……エッ……そんなら親殺しじゃな」

「ハイ。知らずに殺しました訳で……」

「それでも怪しからん話じゃ。あの時に診察した医者は誰じゃったな」