轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たかおざんげ
高尾ざんげ
豊島 与志雄
――近代説話――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,252 字 · 21 页
菊千代はいくらか肥って健康そうになり、そのくせどこか老いこんだ様子に見えました。檜山は少し痩せて、その代り精力的な様子に見えました。
檜山は旅館へ案内されるものと思っていましたが、菊千代の住居の方へ連れてゆかれました。
「あたしの旦那ってことになってるのよ。宿屋なんかに行くより、その方が、人目にもつかないし、あたしの貫祿……おかしいわね、梅葉姐さんそう言ったわ……貫祿のためにいいんですって。」
梅葉姐さんの配慮が、幾重にも菊千代を包みこんでいるようでした。
然し、その菊千代の住居の座敷、各種の箪笥や鏡や人形やこまごました什器類が数えきれないほど沢山、しかもそれぞれ処を得て、置き並べてある中に、檜山は招じこまれて、なんだか自分だけが余計なもののように感ぜられました。家具什器に対してばかりでなく、菊千代の生活にとっても、自分だけが余計なもののように感じられました。
その思いが、いろいろな話の間にも消えないで、檜山は突然言いました。
「君の生活がりっぱにうち立てられたせいか、ここにいると、僕はなんだか余計者だって気がするよ。」
菊千代はちょっと淋しそうな顔をしました。