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まぞう
魔像
林 不忘
新版大岡政談
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页
見る――なるほど、銀地に短冊を散らし貼りにした屏風が、死人の枕頭を囲むように、逆さに置いてあるのだ。
さかさ屏風……不吉! は言うまでもない。が、見つけた荒木陽一郎が、
「おッ! 誰か死ぬぞッ!」
と叫んだのは、些と大袈裟だったので、真っ先に笑い出したのは、通称源助町の丹ちゃんこと鏡丹波だ。おさむらいにしてそんな通称があろうという、市井無頼の徒と何ら選ぶところのない丹ちゃんである。服装だって見上げたもので、まだ薄ら寒いこの春宵に、よごれ切った藍微塵の浴衣一まい、長い刀を一本ブッこんで、髪なんかでたらめだ。クシャクシャに束ね上げている。
「わッはっは!」衝ッ掛るように笑って、「エオウ、誰か死ななきゃならねえなら、おいらが死んでやるから、みんな安心していねエ。だがヨ御同役、そ、そんな不景気な面をしてちゃア、酒が不味いや」
だが、首を狙われる三番士の身になってみると、そう呑気にしてはいられない。
主人の横地半九郎が、真青な顔を陽一郎へ向けて、
「イヤ、これは、今夜の宿を引きうけながら、飛んだ失礼をつかまつった。折も折り、まことに縁起でもない誤ち、何んとも拙者方家人の粗忽。