轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まぞう
魔像
林 不忘
新版大岡政談
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页
下谷と申したナ」
「はい。下谷黒門町の……」
言いかけると、それを言われてはたまらない。長庵は泡をくらって、
「殿様! ク、首が動きました。あれ! 首が動きました」
死にもの狂いで室内の机の上の首を指さした。が、
「黙っておれ! 首が独りでに動くか」
極めつけられて、長庵今度は造酒の袖を引っ張った。
「イエ、冗談ではございません。あの通り、首が笑っております」
「五月蠅いッ!」振り払った造酒が、お妙に、「ウム、下谷黒門町の何の何屋の娘だ?」
「父は壁辰と申す左官でございます」
「ア、言っちゃった――」
長庵はガックリすると同時に、逃げ腰である。そこをグッと押えた造酒、なおもお妙へ、
「左官の娘か。神尾喬之助の妻園絵ではないな」
恋する喬之助の妻ではないかと問われて、普段ならお妙、真ッ赤になるところだが、今は色の恋のとそんな場合ではないから、
「いいえ、喬之助様の奥様などと、飛んでもない……」
「坊主ッ!」
怒気を破裂させた造酒が、グッ! 手をのばして長庵の襟髪を掴んだ。お六が割り込んで来た。
「何ですねえ、首を前にして長詮議――面白くもありませんよ。それより、下手人はまだこの屋敷内に潜んでいるにきまっています。