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まじゅつ

魔術

芥川 竜之介

雨夜我冒雨去拜访印度魔术师,他答应表演真正的魔法。但你想过吗,学会魔术的代价可能比魔法本身更可怕。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,235 字 · 15 页

青空文庫

何しろここは東京の中心ですから、窓の外に降る雨脚も、しっきりなく往来する自働車や馬車の屋根を濡らすせいか、あの、大森の竹藪にしぶくような、ものさびしい音は聞えません。

勿論窓の内の陽気なことも、明い電燈の光と言い、大きなモロッコ皮の椅子と言い、あるいはまた滑かに光っている寄木細工の床と言い、見るから精霊でも出て来そうな、ミスラ君の部屋などとは、まるで比べものにはならないのです。

私たちは葉巻の煙の中に、しばらくは猟の話だの競馬の話だのをしていましたが、その内に一人の友人が、吸いさしの葉巻を暖炉の中に抛りこんで、私の方へ振り向きながら、

「君は近頃魔術を使うという評判だが、どうだい。今夜は一つ僕たちの前で使って見せてくれないか。」

「好いとも。」

私は椅子の背に頭を靠せたまま、さも魔術の名人らしく、横柄にこう答えました。

「じゃ、何でも君に一任するから、世間の手品師などには出来そうもない、不思議な術を使って見せてくれ給え。」

友人たちは皆賛成だと見えて、てんでに椅子をすり寄せながら、促すように私の方を眺めました。そこで私は徐に立ち上って、

「よく見ていてくれ給えよ。