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うおとはくちょう

魚と白鳥

小川 未明

「童話」1924(大正13)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,956 字 · 8 页

青空文庫

そして、なんでも、ほかのものに、捕らえられそうになったら、できるだけの力を出して、跳ねるのです。」と、母親は教えました。

一日ましに、水の中は暖かになりました。そして、もはや、陰気ではなくなり、じっとしてはいられないように、明るい、かがやかしい日がつづいたのです。

子供は、お母さんの許しなどを受けるのをもどかしく思いました。ある日、子供は、ひとりで、河の真ん中へ出て、遊んでいました。だんだん、上へ、上へと、太陽のよく当たる方へ、慕って登りました。

なんといううれしい光でしょう。子供は、跳ねたくなりました。走りたくなりました。どこまでもいってしまいたくなりました。

太陽の光のさすところ、水の中は、うす青く、平和でありました。子供は、うれしさを我慢していることができなくなったのであります。

二度、三度、水の面へ白い腹を出して、跳ね上がりました。

ちょうど、このとき、どこにいて、狙っていたものか、もう一度、子供が跳ね上がったとき、一羽の白鳥が、巧みに子供をくわえてしまいました。

子供は、驚きました。そして、身をもだえました。しかし、なんのかいもなかったのであります。