轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

すし

鮨

岡本 かの子

「文芸」1939(昭和14)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,272 字 · 26 页

青空文庫

母親は子供の吐きものを始末しながら、恨めしそうに父親の顔を見て

「それご覧なさい。あたしのせいばかりではないでしょう。この子はこういう性分です」

と嘆息した。しかし、父親に対して母親はなお、おずおずはしていた。

その翌日であった。母親は青葉の映りの濃く射す縁側へ新しい茣蓙を敷き、俎板だの庖丁だの水桶だの蠅帳だの持ち出した。それもみな買い立ての真新しいものだった。

母親は自分と俎板を距てた向側に子供を坐らせた。子供の前には膳の上に一つの皿を置いた。

母親は、腕捲りして、薔薇いろの掌を差出して手品師のように、手の裏表を返して子供に見せた。それからその手を言葉と共に調子づけて擦りながら云った。

「よくご覧、使う道具は、みんな新しいものだよ。それから拵える人は、おまえさんの母さんだよ。手はこんなにもよくきれいに洗ってあるよ。判ったかい。判ったら、さ、そこで――」

母親は、鉢の中で炊きさました飯に酢を混ぜた。母親も子供もこんこん噎せた。それから母親はその鉢を傍に寄せて、中からいくらかの飯の分量を掴み出して、両手で小さく長方形に握った。

蠅帳の中には、すでに鮨の具が調理されてあった。