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たいつりしろうとばなし
鯛釣り素人咄
佐藤 垢石
「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,992 字 · 12 页
釣趣に魅力が伴って、一度この釣りを味わったら一生忘れることができない。しかも、寒中の鯛は四季のうち至味の節といわれている。寒中は、海も川も釣りものの種類が少ないときだ。鯛釣りに志すほどの人は、一度この釣りを試してみるのも面白いと思う。
全国至るところ春、夏、秋にかけてその鯛釣り場は随分多いけれど、寒鯛釣り場は数が少ない。関東では東京湾口の鴨居、房総半島の船形、外房州勝浦沖、相模国真鶴港外の三ツ石付近、伊豆半島下田町沖合神子元島、横根島、石取島の地先、常陸国久慈と大津沖など。関西では土佐沖、鳴門海峡、紀淡海峡など七、八ヵ所を数えるに過ぎない。
そして、この釣りは出漁すれば必ず釣れるというわけではなく、また季節の関係で海は荒れがちであるから、専門漁師でもこれに熱中する者は甚だ少ないのである。
こんなわけであるから、もし出漁を希望するとすれば、志した土地の漁師と密接な連絡を取って置き、よく条件の備わったときに出かけるのがよろしかろう。