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あへんをのむびしょうねん

鴉片を喫む美少年

国枝 史郎

「オール読物」1931(昭和6)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,061 字 · 21 页

青空文庫

友よ、それから一カ月経った。

その時僕の家の玄関に、厠で使う紙の面に、

「明後日迎いに参る可く候」

こういう意味の文字が書かれてあり、心臓に征矢を突き刺した絵が、赤い色で描かれたものが、針によって止められていた。

これには説明がいるようだから、一つ説明することにする。

上海には上流の女ばかりによって、形成されている秘密倶楽部がある。

「加華荘舎」と云われている。

その目的とするところは、性の享楽ということなのだ。

で、これと目星をつけた、美男の住んでいる家の玄関へ、今云ったような張り紙をし、それから轎で迎いに来るのだ。

男は絶対に拒絶することが出来ない。もし拒絶しようものなら、その男一人ばかりでなく、その男の一家一族までが、ひどい惨害に遭うのだからね。

この国における女の勢力! それは到底日本の比でなく、全く恐ろしい程なのだ。今日ばかりではなく事実この国の――支那の、ずっと昔からの、習慣であるということが出来る。則天武后だの呂后だの、褒似だの妲妃だのというような、女傑や妖姫の歴史を見れば、すぐ頷かれることだからね。

しかしそれにしても僕のようなものへ、白羽の矢を立てて召そうとは、尠くも僕にとっては以外だったよ。